昇格試験やアセスメントでは、部下役の人と面談をする演習が出ることがあります。面談演習、面接演習、ロールプレイなど、呼び方はいろいろです。

当サイトで読んだ本人の体験記43件のうち、試験の構成に面談演習が入っていたのは3件でした(2026年10月。件数は検索語の選び方に左右されます)。数は多くありませんが、外部のアセスメントでは、ほかの演習と組み合わせて出ることがあります。事前に練習した経験のある人は少ないと考えられます(推測)。

この記事では、面談演習で評価する側が何を見ているかを、面談の流れに沿って説明します。

※この記事に出てくる人物と会話は、説明のために作った架空のものです。

面談演習は「問題を解決する試験」ではない

面談演習では、多くの場合、事前に部下の資料が渡されます。人事の記録、上司のメモ、本人からの申し出などです。受験者は資料を読み、決められた時間の中で部下役と面談します。

多くの人は、面談の中で問題を解決しようとします。けれども、評価する側が見ているのは、解決したかどうかより、そこに至る進め方です。

  • 部下が話しやすい場を作れたか
  • 資料にない事情を、聞いて引き出せたか
  • 事実と気持ちを分けて受け止めたか
  • 部下自身に考えさせ、次の行動を一緒に決めたか
  • いつ、どう確かめるかを決めて終えたか

演習によっては、部下役が資料にない事情を持っていることがあります。その場合、聞き方がうまければ打ち明け、責めるような聞き方をすれば黙る、という作りになっています。資料だけを見て結論を出すと、この事情にたどり着けません。

時間配分の目安(15分の面談の場合)

面談の時間は演習によって違います。ここでは15分を例に、目安を示します。

時間 やること
0〜2分 目的を伝え、話しやすい場を作る
2〜10分 聞く。広い質問から具体的な質問へ
10〜13分 聞いたことを言い直して確かめ、次の行動を一緒に決める
13〜15分 いつもう一度話すかを決め、感謝を伝えて終える

聞く時間を、全体の半分以上取るのがポイントです。解決策を話す時間は、最後の数分で足ります。

面談の流れと、評価する側の見方

準備(資料を読む時間)

資料を読むときは、「わかっている事実」と「まだわからないこと」を分けてメモします。わからないことが、面談で聞くべきことです。

評価する側は、準備の段階で仮説を立てすぎていないかも見ています。「この部下はやる気がない」と決めつけて面談に入ると、聞き方が詰問になりやすいからです。

始め(最初の2〜3分)

面談の目的を短く伝え、責めるための場ではないことを示します。最初から問題点を並べると、部下役は身構えます。

聞く(中心の時間)

ここが評価の中心です。広く聞く質問(「最近の仕事はどうですか」)から始め、具体的な質問(「先月の訪問件数が減ったのは、何かありましたか」)に進みます。

部下役が黙ったら、すぐに次の質問を重ねず、少し待ちます。黙っている時間は、相手が話すかどうか迷っている時間でもあります。

まとめと次の行動

部下が話したことを短く言い直し、合っているかを確かめます。そのうえで、次に何をするかを部下と一緒に決めます。最後に、いつもう一度話すかを決めて終えます。

よくあるつまずき

体験記の中には、面談演習で自分の考えを押し付けてしまった、という振り返りがありました。ほかにも、次のようなつまずきが起こりやすいと考えられます。

つまずき 評価する側からの見え方 直し方
最初の数分で解決策を示す 事情を聞かずに決めている 最初の5分は質問だけにする
「なぜできなかったの」と聞く 責めている。部下が黙る 「何があったのか」と事実を聞く
部下の沈黙を、自分の話で埋める 相手の話を待てない 5秒待ってから言葉を足す
「頑張ろう」で終える 次の行動と確かめ方がない 何を、いつまでに、いつ確かめるかを決める

架空の例:在宅勤務の日に連絡がつきにくい部下

場面:保険会社の事務センターの係長のCさんが、部下のDさん(入社5年目)と面談します。資料には、Dさんが在宅勤務の日に、チャットへの返信が半日ほど遅れることが続いている、と書かれています。仕事の出来には、これまで問題がありませんでした。

よくある始め方は、次のようなものです。

Cさん:在宅の日は、もう少し早く返信してください。みんな困っています。

言っていることは正しいかもしれません。しかし、これではDさんの返信がなぜ遅れるのかがわからないまま、話が終わります。Dさんは「気をつけます」とだけ答えて、黙るかもしれません。

聞くことから始めると、次のようになります。

Cさん:在宅の日は、どんな流れで仕事を進めていますか。

Dさんは、たとえば在宅の日は集中が要る入力作業をまとめていて、通知を切っている、と話し始めるかもしれません。ここまで聞けて、初めて「急ぎの連絡はどう届けるか」「返信の目安を係でどう決めるか」という話に進めます。

資料を読む時間のメモ

この場面で、面談の前に作るメモの例です。わかっている事実と、まだわからないことを分けます。

わかっている事実

  • 在宅勤務の日に、チャットの返信が半日ほど遅れることが続いている
  • 出社の日には、遅れの記録がない
  • 仕事の出来には、これまで問題がない

まだわからないこと

  • 在宅の日に、どんな仕事をどの順で進めているか
  • 急ぎの連絡の手段や、返信の目安が係で決まっているか
  • 本人が、遅れを周りの負担として感じているか

「まだわからないこと」の3行が、そのまま面談で聞く順番の候補になります。資料を読んだ段階で「やる気がない」と書いてしまうと、聞く前に結論を決めたことになります。

終え方の例

面談の最後は、決めたことを短く言い直し、次に話す日を決めます。

Cさん:では、急ぎの連絡は電話にする、という案を係で相談してみます。Dさんは、在宅の日に通知を見る時間を決めて、来週から試してください。再来週の月曜に、もう一度うまくいったかを話しましょう。

決めたことが2つ、確かめる日が1つ入っています。部下だけに行動を求めず、上司の側が何をするかも言っている点が、一緒に決めた形として伝わります。

一人でできる練習の手順

  1. 資料を自作する。自分の職場に近い架空の部下を1人決め、表に出ている問題と、隠れた事情を書きます。
  2. 最初の質問を3つ書く。責める言葉が入っていないかを確かめます。
  3. 声に出して、15分を計る。相手がいなくても、自分の言葉を声に出すと、詰まるところがわかります。
  4. 録音を聞き直す。自分が話している時間と、相手に話させる時間の割合を確かめます。

ただ、一人の練習では、相手が思いどおりに答えてしまいます。隠れた事情を「聞き出す」練習は、相手役がいて初めてできます。

なお、メンタルの不調やハラスメントの相談が出てくる場面もあります。そのときは自分だけで解決しようとせず、専門の窓口につなぐことも評価の対象になると考えられます(推測)。

面談の中で、診断のようなことを言ったり、誰が悪いと決めつけたりする必要はありません。話してくれたことを受け止め、会社の相談窓口や産業保健の担当につなぐ、という段取りを示せれば十分です。

苦情を受けた部下、成績が落ちている部下、年上の部下という場面ごとの気をつけ方は、部下面談の場面別の進め方で説明しています。

相手役がいないときは

上司や同僚に部下役を頼むのは、気まずいものです。昇格パスの無料体験では、AI が部下役を演じる部下面談を、1場面だけ文字で練習できます。場面は「評価に納得していない部下」です。

部下役は、聞き方によって話す内容が変わります。終わると評価票で、観点ごとの評価と、根拠になった自分の発言を確かめられます。

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