東京都の主任級職選考では、筆記考査の中心が論文です。種別AのⅠ類は、論文と勤務評定の成績を総合して合格者を決める、と実施要綱に書かれています。土木、建築などの区分では、教養記述の成績が一定の基準に達することも条件です。
令和8年度の選考は、筆記考査が9月27日に行われ、合格発表は11月13日の予定です。この記事は、次の年度に受ける人に向けて、公開されている要綱から形式を整理し、書く前の準備の進め方を説明します。
過去の出題は扱いません。形式、時間、字数、評定の観点など、要綱で公開されている情報だけを使います。
※この記事に出てくる人物と職場は、説明のために作った架空のものです。
要綱に書かれている形式
令和8年度の実施要綱から、論文に関わる部分をまとめます。
使ったのは、令和8年6月23日の人事委員会に出された議案の別紙2で、資料には「(案)」と書かれています。同じ日の会議結果の概要で、この議案が原案のとおり決定されたことを確かめました。決定後に「(案)」を外した版は、公開のページでは見つけられませんでした。
| 項目 | 種別A(Ⅰ類・Ⅱ類) | 種別B |
|---|---|---|
| 主な対象 | 40歳未満(本則。特例は40歳以上50歳未満) | 40歳以上(本則。特例は50歳以上) |
| 時間 | 2時間30分 | 2時間 |
| 出題 | 2題から1題を選ぶ。課題式 | 3題から1題を選ぶ。課題式 |
| 字数 | (1) 300字以上500字程度、(2) 1,200字以上1,500字程度 | 1,000字以上1,500字程度 |
| 合わせて評価するもの | 勤務評定など(区分による) | 日常の勤務成績に基づく推薦 |
評定の観点は、種別A・Bとも同じです。要綱には「問題意識、問題解決力、論理性、表現力等について評定」すると書かれています。
種別A(看護区分を除く)には、受ける条件がもう一つあります。選考区分に対応する基礎力確認テストに、決められた日までに合格していることです。
令和8年度は、令和8年5月31日までの合格が条件でした。論文の準備より前に、この条件を確かめておきます。
種別Aの2段の設問
種別Aの論文は、2段に分かれています。要綱によると、(1)では出題テーマについての基本的な認識を書きます。(2)では着眼点を示したうえで、具体的な取組を書きます。
この2段は、それぞれ別の力を見ていると考えられます(推測)。
- (1) 基本的認識(300〜500字程度):テーマの背景をどう捉えているか。職場や都の仕事の目線で、問題を整理できているか
- (2) 具体的な取組(1,200〜1,500字程度):問題を見る角度(着眼点)を示し、主任として何をするかを書けているか
書く前に大切なのは、(1)と(2)をつなげることです。(1)で挙げた問題点が、(2)の着眼点と取組に対応していないと、論理性の観点で読みにくくなると考えられます(推測)。
時間配分の目安
種別Aの2時間30分の使い方の目安です。字数と時間は要綱によりますが、配分は当サイトの考え方で、公式のものではありません。
| 時間 | やること |
|---|---|
| 0〜25分 | 2題を読んで1題を選ぶ。(1)の問題点と(2)の着眼点を対応させた骨組みを作る |
| 25〜55分 | (1)を書く(300〜500字程度) |
| 55〜135分 | (2)を書く(1,200〜1,500字程度) |
| 135〜150分 | 見直し。設問に全部答えたか、字数、誤字 |
合わせて1,500〜2,000字ほどを、約110分で書く計算です。1分あたり14〜18字ほどになります。普段パソコンで文章を書いている人は、この速さで書けるかを、一度紙で確かめておくと安心です。
書く前の準備
当日に題が出る形式です。題を予想して文章を覚えるより、どの題にも使える材料を持っておくほうが、本番で崩れにくくなります。
- 職場の事実を集める:自分の係で起きた出来事を、事実、原因、自分がしたこと、残った課題の4つに分けて書き出す。3〜5件あれば、多くの題に差し込めます。集め方は論文の書く前の準備で詳しく説明しました。
- 着眼点の言い方を練習する:同じ出来事を、仕事の進め方、人の育て方、相手への伝え方など、2〜3の角度から見直します。
- 主任の範囲で取組を考える:課の方針を変えるような提案ではなく、係の中で主任として動ける範囲かを確かめます。
(1)と(2)をつなぐ骨組み
書き始める前に、次の空欄を埋めてから本文に入ります。ここで大切なのは、(1)の問題点の数と、(2)の着眼点の数をそろえることです。
| (1)で挙げる問題点 | (2)の着眼点 | 主任としての取組(誰に、何を、いつまでに) |
|---|---|---|
| (職場の事実から) | (どの角度から見るか) | (係の中でできる範囲で) |
| (職場の事実から) | (どの角度から見るか) | (係の中でできる範囲で) |
骨組みを作ったら、次の問いで見直します。
- (1)が、テーマの一般的な説明だけで終わっていないか。都や職場の仕事の目線で、なぜ問題なのかが書かれているか。
- (2)の着眼点が、(1)の問題点と一対一で対応しているか。
- 取組が、「意識を高める」「連携を強化する」のような言葉だけになっていないか。それは具体的に、誰が何をすることか。
- 取組が、主任の立場で実行できる範囲に収まっているか。
この見直しにかける時間は、本番でも数分です。書き始めてから構成を組み直すより、骨組みの段階で直すほうが、かかる時間はずっと短くて済みます。
架空の例:着眼点を示す1文
都の出先の事務所で主事をしているHさん(31歳)は、(2)の書き出しが、いつも一般論になると悩んでいました。比べるために、1文だけ例を示します。
- 一般論の文:業務の効率化を一層進めていく必要がある。
- 着眼点を示した文:一つ目の着眼点は、過去の資料を探すのに係の時間が取られていることである。
2つ目の文は、上手な言い回しではありません。けれども、どの角度から問題を見るかが、最初の1文で分かります。その後の取組も、この着眼点に沿って書けば、(1)とのつながりを保ちやすくなります。
なお、この記事では、そのまま写せる段落や全文の見本は載せていません。自分の職場の事実から、自分で組み立てるための手順です。
種別Bを受ける人へ
種別Bの論文は、2時間で3題から1題を選び、1,000字以上1,500字程度を書きます。種別Aのように2段に分かれてはいません。そのため、構成を自分で決める必要があります。
種別Bを受ける人は、職場での経験が長い人が多いと考えられます(推測)。材料が豊富な分、経験を並べるだけで字数が埋まり、課題と取組が見えにくくなることがあります。経験は、課題を示すための事実として1つか2つに絞り、残りの字数を取組に使います。
時間は2時間で、種別Aより短くなります。3題から選ぶ時間、骨組みを作る時間、見直しの時間を先に決め、書く時間がどれだけ残るかを練習で確かめておきます。
年間の進め方
要綱は年度ごとに決まります。令和7年度は6月24日に決まり、申込の締切は7月15日、筆記考査は9月28日でした。令和8年度は6月23日に決まり、締切は7月15日、筆記考査は9月27日でした。
次の年度も、同じころの日程になる可能性があります(推測)。
日程が近い年度で考えると、次のような流れが目安になります。
- 春まで:基礎力確認テストの条件を確かめる。職場の事実を集め始める
- 要綱の発表後:時間、字数、日程を確かめる。時間を計って、紙で書き始める
- 筆記考査の1か月前から:(1)と(2)を通して書く練習を、週に1本ほど
合格予定者数は年度ごとに変わります。令和8年度は合わせて730名で、令和7年度は960名でした。数に一喜一憂するより、自分の答案を観点で見直すことに時間を使うほうが、準備としては確かです。
書いたものを見てもらうには
論文は、評価する側の目で見てもらうと、直す場所がはっきりします。職場で頼みにくいときは、外の手段を使う方法もあります。
昇格パスの論文の演習では、自治体の区分を選んで練習できます。材料の整理、骨組み、時間を計った本番、観点ごとの採点、書き直しの比較までを一人で進められます。採点では、本文の該当箇所を根拠として示します。
本文を代わりに書くことはしません。論文は無料体験の対象に入っていないため、まずはプランの説明で内容をご確認ください。昇格面接の3問は無料で試せます。
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