教頭や副校長の選考は、自治体ごとに形式が違います。呼び方も、教頭、副校長と分かれます。ただ、当サイトで確かめた公開資料では、論文と面接を組み合わせる形が見られました。
当サイトで読んだ体験記には、教員の管理職選考に何年かかけて挑んだ人の記録がありました(2026年10月)。3回落ちて4回目で合格した人や、何年も続けて受けている人です。件数は少ないので、傾向の一つとして見てください。
この記事では、教育委員会が公開している資料から形式を整理し、学校経営の視点で準備する手順を説明します。過去の出題は扱いません。
※この記事に出てくる人物と学校は、説明のために作った架空のものです。
公開されている形式の例
教育委員会の会議資料などで、選考の形式が公開されている自治体があります。ここでは2つの例を挙げます。どちらも、その自治体の資料に書かれている形式で、ほかの自治体に当てはまるわけではありません。
| 自治体(資料の時期) | 教頭の選考の形式 |
|---|---|
| 熊本市(令和8年6月の報告。令和9年度の採用に向けた試験) | 一次:筆記試験90分と勤務成績。二次:論文60分と個人面接。配点は二次で論文50点、個人面接150点 |
| 島根県(令和7年6月の会議資料。令和8年度に向けた試験) | 一次:論文記述90分(学校管理・学校教育)と面接15分。二次:面接20分を2回 |
熊本市の資料には、筆記試験と論文の出題内容も書かれています。教育制度、教育法規、学校の管理運営、教育時事、熊本市の教育行政です。また、申込のときに希望すれば、論文や面接の点数が合否の通知と一緒に知らされる、とされています。
2つの例を比べると、論文の時間は60分と90分で違い、面接の配点が大きい例もあります。自分の自治体の要項や案内で、時間、字数、配点を必ず確かめてください。
評価する側が見ていること
島根県の資料では、管理職に求められる資質能力として、次の5つが挙げられています。
- 高い教育理念と広い識見
- 学校経営
- 学校管理・運営
- 人材育成
- 外部との連携・折衝
論文も面接も、この5つのどれかに触れる形で読まれると考えられます(推測)。教諭として授業や学級をよくする話から、学校全体を動かす話へ、視点を一段上げることが求められます。
自分の自治体が、求める資質を公開していないか探してみてください。管理職の育成の指針などに書かれていることがあります。見つかれば、それが準備の物差しになります。
論文の準備
手順1:形式を確かめる
時間、字数、手書きか、資料が付くか、テーマの範囲を確かめます。熊本市のように、出題内容の範囲が公開されている場合は、その範囲ごとに材料を用意します。
手順2:学校の事実を材料にする
一般論の論文は、どの学校のことか分からない文章になりがちです。自分が関わった学校の事実を、事実、原因、自分がしたこと、残った課題の4つに分けて書き出します。集め方は、論文の書く前の準備で詳しく説明しました。
手順3:立場を教頭・副校長に合わせる
材料が教諭や主任としての経験でも、解決策は教頭・副校長の立場で書きます。
- 校長を補佐し、教職員にどう働きかけるか
- 学校全体の仕組みとして、何を変えるか
- 保護者、地域、関係機関とどうつなぐか
手順4:法規や制度を、事実と結び付ける
熊本市の資料のように、教育法規や教育制度が出題の範囲に入る場合があります。法規や答申の言葉を覚えるだけでは、論文の中で使いにくいものです。覚えた制度が、自分の学校のどの場面に関わるかを、材料の事実と結び付けて書き出しておきます。
たとえば、学校の管理運営の決まりを学んだら、自分の学校で実際にどう運用されているか、どこに課題があるかを1行で書きます。こうしておくと、論文の中で制度の話と学校の事実を、自然につなげやすくなります。
手順5:時間を計って書く
本番の時間で書く練習を、選考の1か月前から週に1本ほど重ねます。60分の形式と90分の形式では、書ける量がかなり違います。自分の自治体の時間で練習します。
会場で手で書く形式なら、練習も手で書きます。書き終えたら、問われたことに全部答えているか、立場が教頭・副校長になっているかの2点だけを、まず見直します。
面接の準備
面接では、論文と同じく、学校経営の視点で話せるかが見られると考えられます(推測)。上の5つの資質を、自分の経験に当てはめた材料を用意します。
| 資質 | 用意する材料の例 |
|---|---|
| 教育理念と識見 | どんな学校にしたいか。その理由になった自分の経験 |
| 学校経営 | 今の学校の課題を一つ挙げ、教頭・副校長として何をするか |
| 学校管理・運営 | 事故や苦情への対応で、組織として動いた経験 |
| 人材育成 | 若手や同僚を支えた経験と、相手がどう変わったか |
| 外部との連携 | 保護者、地域、関係機関と一緒に進めた経験 |
面接で気をつけたいのは、次のような答えです。
- 今の学校や管理職への批判に聞こえる答え:「今の学校は〜ができていない」と言うときは、自分ならどう変えるかを必ず続けます。
- 教諭としての熱意だけの答え:授業や学級への思いだけでは、教頭・副校長として教職員にどう働きかけるかが見えません。
- 制度の言葉だけの答え:法規や答申の言葉を並べても、自分の学校の事実がないと、深掘りで話が続きません。
面接の深掘りへの備え方は、昇格面接でよく聞かれることにまとめました。学校の面接でも、考え方は同じです。
架空の例:視点を一段上げる
中学校で教務主任をしているJさん(47歳)は、面接の練習で「教頭として、まず何に取り組みますか」と聞かれました。比べるために、1文ずつ例を示します。
- 教諭の視点の答え:自分の授業を工夫し、生徒の学力を伸ばしたいと考えています。
- 教頭の視点の答え:学年ごとに違う評価の進め方をそろえ、先生方が相談しやすい場を校内につくります。
1つ目は、よい教諭の答えです。けれども、教頭として学校全体をどう動かすかが見えません。2つ目は、教職員に働きかけて仕組みを変える話になっています。
Jさんは、この形で、自分の学校の事実を入れて話す練習を重ねました。数字や具体的な場面を一つ足すと、深掘りされても話が続きやすくなります。
何年かかけて受ける人へ
体験記の中には、学び続けた数年で管理職としての視点が高くなった、と振り返る人がいました。一方で、選考の基準が見えないことに強い不満を書いた人もいました。
何年かかけて受ける場合は、毎年の準備を積み上げる形にすると、負担が軽くなります。材料の事実を集めたノートを年ごとに足していき、受けた年の論文や面接で聞かれたことの振り返りも、同じノートに残します。翌年は、そのノートを読み直すところから始められます。
点数の開示を希望できる自治体なら、開示を受けて、論文と面接のどちらが足りないかを確かめられます。開示がない場合の推し量り方は、昇格試験に落ちた理由を、自分で推し量る方法にまとめました。
練習の場について
昇格パスの論文の演習には、教員(教頭・校長)の区分があります。材料の整理、骨組み、時間を計った本番、観点ごとの採点、書き直しの比較までを一人で進められます。採点では、本文の該当箇所を根拠として示します。
本文を代わりに書くことはしません。論文は無料体験の対象に入っていないため、まずはプランの説明で内容をご確認ください。
無料体験の昇格面接3問は、学校向けではなく、職種を問わない管理職の質問です。それでも、深掘りに答える練習として使えます。匿名で使え、所属先に知らせることはありません。
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